Classic Styles are never gonna die

今回は、決して廃れることのない、クラシックスタイルについてお話したいと思います。

映画007でJames Bondを演じるSean Connery

クラシックスタイルは、僕が最も憧れるファッションであり、最も取り入れているファッションスタイルです。

今回は、現代におけるクラシックについて考えて行きたいと思いますが、その前に、まずは、本物のクラシックを体現した男から、見ていきましょう。

JAMES BOND

007 Dr.Noより。

ジェームズ・ボンド。1962年、イアン・フレミング原作の小説”007″が初めて映画化され、”007 Dr.No”が公開されました。

初代ジェームズ・ボンドを務めたのは、ショーン・コネリー。多くの007ファンは、彼こそが本物のジェームズ・ボンドだと頑なに主張しています。笑

007 Dr.Noより。

しかしそれは本当で、James Bondを、男の男たるべき見本という座に確立させたのは、まぎれもなく彼でした。

007 Dr.Noより。

ジェームズ・ボンドとは、イギリスの諜報部員。すなわち極秘スパイです。組織のあらゆる悪の計画を止めるべく、戦うのですが、彼は常に最高級な物のみを好みます。

007 Dr.Noより。

ロンドンのサヴィル・ロウにあるテーラー、アンソニーシンクレアで仕立てられた完璧なスーツを着て、男の必需品フェドラハットを被り、手にはブリーフケース。非の打ち出しどころのない完璧なジェントルマンです。

007 Dr.Noより。

クラシックスタイル、それはJames Bondが纏っていた、完璧なジェントルマンのスタイルです。それは永遠に廃れないスタイルですが、しかし、ここで、よく考えてみてください。

スーツが少し、ぶかっとしている、というか、大きいと思いませんか?そして、こんな人、東京で見かけたら、どう思いますか、?

そうなんです。少しシルエットがゆったりしていますよね。これが公開された1960年代は、男性は頼りがいのある、大きい身体をアピールすべく、若干ゆとりのあるスーツを好みました。

クラシカルなスーツに、フェドラハットとブリーフケース。こんな人見かけたら、もちろんカッコよくて目を引きますが、冷静に考えると、随分古臭い人だな、という印象も持ってしまいますよね。

そう、クラシックは廃れないけれど、変化はするのです。

さて、それでは、ここで現在のJames Bondを見てみましょう。

映画007 カジノ・ロワイヤルよりJames Bondを演じるDaniel Craig

現在の6代目James Bondを演じるのは、ダニエル・クレイグ。彼は、人気が衰退しかけていた007を、2000年代にもう一度復活させた、現代のJames Bondです。

James Bond by Daniel Craig

どうでしょう。シルエットがかなりスリムになったことで、かなり今っぽいクラシックスタイルに仕上がっています。

007 Skyfallより。

昔も今も、最高級のものを好む最高のジェントルマン、ジェームズ・ボンドは、現在はTom Fordのスーツを着ています。値段で言うと世界最高峰ですから、そのスピリットは変わっていないことがわかりますね。

最新作007 No Time To Die (2020年11月公開)より

しかしですね。とってもカッコイイことに間違えは無いのですが、今この格好をしていると、、

正直、めちゃくちゃかっこいいサラリーマンか、会社の社長ですよね。

そう、1960年代では、子供から大人まで、男性はみな普段着としてスーツを着ていました。

「ローマの休日」より。

しかし今は洋服のカジュアル化が進み、スーツというと、働く時か特別な時にのみ着るものとなってしまったのです。

「プラダを着た悪魔」より。引き合いには出しましたが、僕のお気に入りの映画のひとつです。笑
つまり、現代で「クラシック」といっても、前のそれとは違う上に、リアリティがない。リアリティがなければファッションは成り立たない。

それでは、現代の本当のクラシックとは、何でしょうか。

それはずばり、この人が作り上げたスタイルではないでしょうか。

Celine 01 2019ss la collection

またこの男か。そうですまたこの男です。

HEDI SLIMANE

彼こそ、現代のクラシックスタイルを作り上げた紛れもない革命家です。

Dior Homme by Hedi Slimane 2002ss

2002年(正確には2001年)。カジュアルウェアが全世界に浸透していた時に、彼は新たなテーラードスタイル、それはスリムなシルエットのテーラードスタイルを打ち出しました。

Dior Homme by Hedi Slimane

歴史上、1度も現れたことがなかった、身体に沿う、どこか女性らしさも取り入れられたテーラードスタイル。これ以来、メンズスーツの基本はスリムシルエットになり、先程のDaniel Craigのスリムなスーツにも繋がっていくのです。

Dior Homme by Hedi Slimane 2005ss

とはいっても、2000年代、15年ほど前の話ですから、これもまだ少し古臭いですよね。

しかし、2013年シーズンより就任したSaint Laurentで、彼は本当に現代のクラシックスタイルを確立させます。

Hedi Slimane

Saint Laurentで彼が提案したニュー・クラシックスタイルとは、「ドレスダウン」スタイルです。

Hedi Slimane

彼は、テーラードスタイルに、ジーンズ・デニム、Tシャツなどのカジュアルなアイテムを合わせました。時には、スモーキング(タキシード・正装)にデニムを合わせることも。

もちろん「ドレスダウン」スタイルは昔から、言ってしまうと1950年代から、いや、それよりも前からありました。しかしそれはクラシックスタイルとして、ではなく、ただのひとつのスタイルとして、でした。

※1950年代で言うとアイビールック、1960年代ではモッズなども、テーラードジャケットにチノパンやデニムを合わせていましたが、これはあくまでも若者のスタイルでした。

Saint Laurent permanent collection by Hedi Slimane

Saint Laurentで大ヒットした彼は、”Permanent collection” (permanent = 永久的な) というものを作りました。

Saint Laurent permanent collection

彼の中で定番とされる、レザージャケットやトレンチコート、チェスターコート、テーラードジャケット、デニムパンツなどがパーマネントコレクションとして展開され、これらはいつでも、世界中どの店舗でも手に入れられるようになりました。

そう、これこそまさに、彼が作った現代のクラシックスタイルです。

Saint Laurent permanent collection by Hedi Slimane / モデルのディラン・ブロスナンは、5代目Jame Bondを務めた俳優のピアース・ブロスナンの息子。彼を定番ラインのキャンペーンモデルに使うあたりが、、、痺れますよね。

彼の定番とされているレザージャケットやテーラードジャケット、デニムパンツは、Saint Laurentを退任した後も展開され続け、今も一部は入手可能です。

また、2019年シーズンから就任したCELINEでも、同じようなピースを制作し、定番としてシーズン関係なく手に入れられるようになっています。

そしてこのモダンなクラシックスタイルを全開に打ち出したのが、CELINEでの最初のシーズンであった2019ssシーズン。

CELINE 01 2019ss
CELINE 01 2019ss

これこそまさに現代におけるクラシックなスタイルです。CELINE 2019ssコレクションについては、詳しくお話したブログがありますので、そちらをご覧下さい。

Saint Laurent 2013aw

クラシカルなピースを、少しカジュアルなものと合わせてドレスダウンする。これが、現代のクラシックスタイルです。

Saint Laurent 2016aw

いかがだったでしょうか。毎回そうですが、今回は更に自己満な内容でした。笑 自分が好んで着るものを、それっぽく説明しただけですから。笑

次回は、何を書こうか。迷っていますが、また読んでいただけると嬉しいです。笑

ご精読いただきありがとうございました

CELINE by Hedi Slimane 01 2019ss ~Paris la Nuit~

2018年9月28日。パリのアンヴァリッドで行われたショーによって、それまでのトレンドであったストリートファッションに終止符が打たれました。

2019ssのパリファッションウィーク。話題は「CELINE」「CELINE」「CELINE」。Saint Laurentを退任して約2年が経ったHedi Slimaneが、CELINEというブランドを背負ってまたパリに戻ってきたのです。

CELINEとは。

CELINE、というと、女性の憧れのブランド、そういうイメージをお持ちの方は、恐らく前任デザイナー、Pheobe PhiloによるCÉLINEのことを仰っているのだと思います。Pheobe Philoは、Hedi就任前、10年間セリーヌのデザイナーを務め、同ブランドの地位を確立しました。

Pheobe Philo
CÉLINE 2018ss
大人の女性のための、緩やかなシルエットと、美しいカラーリング。長年、トレンドとは別の、独自の人気を誇っていました。

そして、2019ssより彼女に替わりデザイナーに就任したのは、Hedi Slimane。彼女のクリエーションを継続するのか、それともHedi得意の「ロック」スタイルを全開にするのか。全世界の注目がCELINEに集まりました。

CELINE New Logo Campaign

Hediはセリーヌ就任後、イメージ刷新のため、ロゴを変更、店舗もリニューアルしました。

CÉLINE by Pheobe Philo 表参道店
CELINE by Hedi Slimane 表参道店

CELINE by Hedi Slimane 01 2019ss show

満を持してその姿を現す、Hedi SlimaneによるCELINE。

会場には、世界中の著名人が集まりました。

会場のフロントロウに姿を見せた
レディ・ガガ(左)と故カール・ラガーフェルド
オープニングは、パリの歴史を感じさせられる太鼓の演奏から。

Hediお得意の、ロックスターのコンサートのようなギラギラと輝くセットから、ファーストルックが現れました。

ファーストルック。(レディース)

このままルックを見ていきたい所なのですが、その前に、このショーに使われた曲についてお話しようと思います。これがまた、このショーを紐解いていく鍵となるのです。

La Femmeによるショーミュージック「Runway」

Runway / La Femme

ショーで流れたのは、フランスのバンド、La Femmeがこのショーのために制作した曲、「Runway」。

La Femme

La Femmeは2010年から活動している、フランスのサイケパンクロックバンド。彼らが影響を受けたのは、フレンチイエと、フレンチコールドウェイブ、すなわち、フレンチロックそのものなのです。

フレンチイエは、ビートルズの影響を受けた1960年代初期のフランスのロックミュージック。かの有名なシャンソン歌手・セルジュゲンズブールも、フレンチイエの影響を受けているそうです。

フレンチコールドウェイブとは、1970年代後半の、シンセサイザーが用いられたテクノ系ロックミュージック。代表的な歌手としては、Ruth、Jacnoなどが挙げられます。どこかで聞き覚えのある名前ではないでしょうか?

Hedi Slimaneは若い頃、パリのナイトクラブで実際にフレンチコールドウェイブを聞いていた、すなわち、フランスにおけるロックミュージックの全盛期を身をもって経験していたのです。

しかしその後、フランスのロックミュージックは衰退し、Hedi Slimaneの関心はドイツ・ベルリンや、イギリス・ロンドンに向けられたのでした。

La Femme

そこに、救世主のように現れたのが、La Femme。フランスのロックミュージックを取り入れ、現代風にアレンジした彼らの曲やスタイルは、Hediの心を射止めたのでした。

ちなみに、この、Runwayの中で歌っているのは、ボーカルと、正式メンバーでは無いものの、ツアー等に同行し、ステージでダンスやコーラスをする、モデルのGrace Hartzel。彼女はCELINEのランウェイにも登場しています。

La FemmeのメンバーMarlon Magnee(左)と、Grace Hartzel
CELINE 05 2020ss。ルック2で彼女が登場しました。
こちらは会場で撮られた私服姿。なんでこんなに載せるかって、僕が個人的にとっても好きなんです。

さて、話は戻って、フランスロックの超新星、La Femmeの登場により、Hediの関心はパリに寄せられ、2019ssではそのインスピレーションを形にしました。

“Paris la Nuit”

ショーのテーマは、”Paris la Nuit”(フランス語で、パリの夜という意味)。パリのクラブに通い詰める若者、それはHediが若い頃に体験したそのものでした。

メンズファーストルック

彼らは、黒く細身のスーツを着て、ネクタイを締め、足元はトゥの尖った革靴を履いていたのでした。

こちらのライダースは、シグネチャーとして定番化しました。

ジャケットの代わりに、ライダースやレザージャケットを着ることも。もちろん本当の若者は、これらを古着屋や、父親のクローゼットから手に入れて来たのでしょう。

レクタングル(長方形)のサングラス

サングラスも、黒く四角いレクタングルのもので、ダークなムードを演出。

パリの夜で踊りあかす若者が、インスピレーションとしたもの。

Hediが今季のインスピレーションにした、パリの夜。そこで遊びふけていた若者は、何に憧れていたのでしょうか。

Bob Dylan

今も絶大な人気を誇る、ファッションリーダーのボブ・ディラン。

まずなんと言っても、この人でしょう。Bob Dylan。黒いレクタングルのサングラスに、黒く細身のスーツ、足元はヒールブーツで、シャツはドット柄。

彼のスタイルを象徴するドットプリントシャツ。

アメリカの伝説的なミュージシャンは、フランスの若者をも虜にしたのでした。

Bob Dylanを連想させる、ドットプリントシャツに、細身のセミダブルのジャケット。
こちらは広告のポートレートですが、このレクタングルのサングラスはまさに彼のアイコンでした。

“We Are Mods!!”

Mods(正式にはネオモッズ)を代表する英国のバンド、The Jam。

“Mods”とは、1960年代前半にイギリスで流行した若者のカルチャー。彼らは細身の、3つボタンスーツとイカしたサングラスを好み、その上からモッズコートを着てスクーターで街を爆走していたのでした。

映画「さらば青春の光」より。

Modsを題材にした映画「さらば青春の光」の主人公は、Vゾーンが浅い3つボタンの細身のスーツに、モッズコートを着ていました。

オーバーサイズなモッズコート、3つボタンのジャケットはまさにModsそのもの。
かなり短めに整えられた前髪も、Modsを象徴するヘアスタイルでした。こちらもモッズコートを着ていますね。

元祖ヤクザ・Teddy Boy

テディボーイの男たち

そして、HediがSaint Laurent時代からインスピレーションとしている、テディボーイ。1950年代初期にロンドンで流行した、エドワード7世をリスペクトしたスタイルです。

テディボーイ

彼らの特徴は、腰元にプリーツの入ったパンツ、ボリュームのあるクリーパーシューズなど。クリーパーに関しては、Saint Laurent時代や、CELINE2019awで多く見られましたね。

今期のパンツは、Hediにしては少し緩めのシルエット。

今期を代表するアイテムのひとつ、ツープリーツのスラックスパンツ。「ニューウェーブ」と名付けられたこのパンツは、フレンチコールドウェーブが由来ではありますが、その原点はテディボーイのスタイルにあるのではないでしょうか。

腰元が緩く、足首にかけてぎゅっと絞られたシルエット。長めのジャケットと合わせ、テディボーイムード全開に。

ルックの考察

さて、これらの予備知識を入れた上で、改めてルックを見てみましょう。

テーラードパンツに、アメリカン/ロックンロールなライダースとは毛色の全く異なった、パリジャンらしいアンニュイな雰囲気を持つレザージャケット。
こちらも同じく。かなり着丈を短めにすることで、脚を長く見せています。
もちろん、Hediを代表するスキニーパンツも。
アンクル丈にし、靴の存在感を際立てています。
モデルには、激細の若者を採用。
筋肉や贅肉のついた大人とは違くありたい、というロックの精神が見えます。
定番のブーツ”Jacno”

ショーに登場した靴は全てが革靴・またはブーツで、Saint Laurent時代とは全く異なった、細身の、トゥの尖ったシルエット。この形は”Jacno”と名付けられました。そう、あのJacnoです。

シューズの名前にもなった、”Jacno”とは。

Jacno

Jacnoは、1979年にソロシングル「RECTANGLE」でデビュー、1980年代にはフランスを代表するアーティストとなり、「フランスのエレクトロ・ポップの創始者」とも呼ばれるようになりました。

1980年代となると、1968年生まれのHediにとっては20代。そんな彼にとって、Jacnoは憧れのミュージシャンの1人だったのでしょう。

Jacno シングルモンクストラップシューズ

そのJacnoをリスペクトし、名づけられたJacnoシューズは、今もCELINEの定番として店頭に並んでいます。

Hedi SlimaneによるCELINE。評価は?

さて、注目が集められたファーストシーズンでしたが、その評価はどうだったのでしょうか。

端的に言うと、批判殺到でした。

Pheobeが作り上げてきたCELINEの欠片もなく、当時トレンドを席巻していたストリートファッションの要素もない。特にレディースに関しては、もはやファッションではない、と酷い言われ様でした。

レディース

レディースは、基本的に全てナイトドレスのようなプレタポルテに、足元はこのブーツ。街中では着られないようなデザインだったのです。

僕はこの辺りは好きなんですけどね。。

一方メンズは、Hediファンの心を捉え、そこそこの駆け出しでした。

全てがテーラードスタイルで染められた彼のショー。直接な評価はあまり高くなかったものの、実はその影響は絶大なものでした。

このショーを境に、世界のトレンドはかつてのストリートファッションから、テーラードを軸とするドレスアップスタイルに移行しました。

BALENCIAGA triple s
gucci

かつて、2018年頃までは、BALENCIAGAを筆頭にダッドスニーカーブームが世界中に広がっていました。ボテっとしたスニーカーに、ワイドシルエットのパンツ。オーバーサイズでロゴの書いてあるシャツやスウェットがメインストリームでした。

Saint Laurentからダッドスニーカーが出た時は
世も末だと思ったものです。

しかし、CELINEのショーがあった2018年の後半頃から、どうでしょう、トレンドのメインストリームに登りつめたのは、この靴じゃないでしょうか。

Maison Margiela 足袋ブーツ

マルジェラの足袋ブーツ。特にヒール付きのブーツが、メンズの足元に多く見られるようになりました。

確かに形はフォーマルではないものの、このブーツに合わせるのは細身やストレートのスラックスや、テーラードジャケット、かなりトレンドはドレスアップに寄っていったのです。

CELINE 01

レディースも然りです。特に、この後のCELINE 2019aw・2020ssは世界中のトレンドを席巻しました。

CELINE 03 2019aw
このルックによって、キュロットスカートとロングブーツは大きなトレンドとなりました。
CELINE 05 2020ss
このルックによってデニム×ブレザーが大ブームに。今季のバーニーズニューヨークのお偉い方も、1番人気はその組み合わせだと、あるインタビューで答えておりました。
CELINE 01

CELINE 01。Hediのファーストコレクション。

それ自体の評価や影響力は、直接的にはあまり目立つものではありませんでしたが、目に見えない所では絶大な影響力を誇っていました。

CELINE 01

余談ですが、僕はこのショーを見てファッションの世界観が変わりました。私服として着るスーツがこれだけかっこいいのかと、衝撃を受けたのです。

CELINE 01 Campaign

それ以来、僕の着るものといえば、テーラードジャケット、ドレスシャツ、テーラードパンツか黒スキニーパンツ、そしてブーツかバックルシューズ。サングラスはレイバンのウェイファーラーと、CELINE 01は僕のスタイルを決定づけたのです。

CELINE 01

確かに、好き嫌いが分かれるシーズンだったことは間違いありません。

しかし、そこには廃れることの無い、ロックミュージックの歴史と伝統を取り入れた、永遠のスタイルがあったのです。

CELINE 01

貴方はこのシーズン、どう思いましたか?

次、9~10月に控えるショーでは、彼がCELINEに就任してから3回目の春夏シーズンを迎えます。テーラードで来るのか。崩してくるのか。今から楽しみですね。

そして何より、無事にショーが行われることを祈っております。

CELINE 01 Campaign

ありがとうございました。次回はCELINE 2019awについて執筆しようと思っておりますので、そちらもご覧頂けると嬉しく思います。

CELINE by Hedi Slimane 06 2020AW ~Compilation of Hedi Slimane~

CELINE by Hedi Slimane 06シーズン、2020AW。2020年2月28日にパリのアンヴァリッドでショーが行われました。

会場のアンヴァリッド。かの有名なナポレオンを初めとした数多くの将軍が眠る、歴史的な廃兵院です。

06シーズン目、メンズでは4シーズン目を迎える2020aw。01以来のウィメンズとの合同形式となり、メンズとウィメンズのテーマ性を一貫しているHediの真髄を見ることが出来るシーズンとなりました。

01 2019ss 「パリの夜」
フレンチニューウェーブのダークなムードを持つ、若者向けのテーラードスタイルが多く見られました。
02 2019aw 「ロンドンダイアリー」
英国ロックの歴史:モッズ、ニューウェーブ、パンクの要素を取り入れた、クラシカルなテーラードスタイルが提案されました。
04 2020ss 「フレンチリヴィエラ」
フレアパンツに胸元を開けたシャツ、テーラードジャケットの組み合わせは正にフランスのシャンソンを代表するセルジュゲンスブールへのオマージュが感じられました。

01.02で見られたようなロンドンのロックスタイルで来るのか、04で見せたフレンチ・ブルジョワスタイルで来るのか。世界中のファッショニスタがパリの廃兵院に注目を集めました。

06 2020aw

いつも通り予定より30分ほど遅れて開始したショー。今回はコロナウイルスの影響で著名人はあまり見られず、毎回来場していたBLACKPINKのLISAもその美貌を表すことはありませんでした。

毎回ゴージャスな照明で、ロックミュージシャンのライブのような演出をするHedi Slimane。今季はCELINEの伝統的な「トリオンフ」モチーフの照明をバックに、スーパースキニーなモデルたちが長い髪を靡かせながら闊歩しました。

メンズのファーストルック。フランネルのような厚手の生地のチョークストライプの3ピースに、Hediの定番でもあるドット柄を用いたボウタイブラウスという組み合わせ。
グレーのチョークストライプの3ピース。インナーに合わせるのは中世の貴族を思わせるようなフリルシャツ。パンツは2020ss程ではないものの、若干フレア気味のシルエットになっています。
こちらも同様、ネイビーの3ピース。ベストはウィメンズによく見られる4つボタンの形が採用されました。

今季も、04 2020ssで打ち出したフレンチ・ブルジョワテーラードスタイルを継続しました。Hediを代表するブラックも抑えられ、ネイビーやグレーなど優しい印象を与えるクラシカルな色味に。

Hediの定番であるレザージャケットも、今季はかなり上品な仕上がり。胸元が空いたシャツに、ベルベット素材のフレアジーンズが品を格上げしています。
こちらも同様、Hedi定番のレザーコート。インナーはなんとオートクチュールのシャツ。女性らしい繊細さが、メンズのスタイルに落とし込まれています。
こちらは、どちらかというとHediといえば、というルック。ベージュのスエードはSaint Laurent時代からよく使用されていた、LAのグランジを感じさせる素材ですが、フリルシャツ、スカーフと合わせることによってフレンチシックなムードに。

今季のコレクション、ずばり、Hedi Slimaneの集大成であると言えます。

Dior時代からこの約20年間、ファッション業界の最前線を走る彼は、世界中に多くの影響を与えてきました。

その数々のコレクションで見せたインスピレーション全てが、今季のクリエーションには落とし込まれているのです。

さらに紐解くため、Hedi Slimaneのアーカイブをさらっと振り返っていきましょう。

2001~2008 クリエイティブディレクターを務めたDior Homme

まずDior Homme時代の初期には、ドイツ・ベルリンの無機質さと、アンドロジニー(両性具有)のスタイルを取り入れました。

Dior Homme 2001aw

鎧のように強く、女性のように美しい男性。これがHedi Slimaneが戦慄のデビューを飾る最初のクリエーションのベースとなりました。

その後、Hediの関心はロックミュージック、そしてロックの聖地、イギリス・ロンドンへと移りました。

Dior Homme 2005aw
伝説と呼ばれているグラム期
「グラム」とは、ロックミュージックのひとつ、グラムロックに由来しています。日本で言うならば、玉置浩二さんのスタイルはまさにグラムです。
Dior Homme 2006ss
The BeatlesやThe Jamを連想させるモッズスタイルは、正に英国ロックを象徴するものです。

Dior退任後、約5年の月日を経てファッション業界に戻ってきたHedi SlimaneのSaint Laurentでのクリエーションのキーワードは、①Yves Saint Laurentへのオマージュ、②英国ロックスタイル、③LAグランジロックです。

2013~2016 クリエイティブディレクターを務めた
Saint Laurent
Saint Laurent 2013aw

Saint Laurentという偉大なメゾンの大役を担うべく、彼はYves Saint Laurentが残したレガシーを大切にしました。Yves Saint Laurentの名作・スモーキングをモダナイズしたこのスモーキングジャケットは、ファーストコレクションのファーストルックを飾ったのでした。

Saint Laurent 2014aw

Dior時代後期に関心を寄せていた英国ロック、Saint Laurentに就任してからはかなり多く取り入れました。特に「テッズスタイル」はSaint Laurentのブランドコンセプトともマッチし、多く見られました。

Saint Laurent 2015ss

そして何よりSaint Laurentが人気となる一大ブームを巻き起こしたのが、LAのグランジロックスタイル。Nirvanaのボーカル、カート・コバーンや、ジミ・ヘンドリックスを思わせるルックは、日本を始め世界中で大人気となりました。

ロンドン・LAからのインスピレーションが多かった中で、1度だけ異彩を放ったシーズンがあります。それは2015aw。

Saint Laurent 2015aw

グランジの要素は全く感じられず、レディースのようなスーパースキニーなシルエットともに打ち出されたのは、フレンチロックスタイルでした。

今回の2020awを紐解く鍵は、ここにあります。2015aw。Hedi Slimaneが故郷であるパリに想いを馳せたシーズンです。

Saint Laurent 2015aw

Saint Laurent 2015awのショーミュージックを手がけたバンドは、フランスのロックバンド、”La Femme”でした。これまでLAのアンダーグラウンドなロックバンドの音楽を採用してきたHediが、フレンチロックに関心が移った、といえるのでしょうか。

La Femme

いえ、移ったのではなく、「戻った」のです。

そもそもパリで生まれ育ち、若い頃はフレンチロックの音楽に乗せてクラブで踊っていた彼。Diorのデザイナーを始める頃にはそんなフレンチロックの衰退に退屈さを覚え、ベルリンやロンドン、LAなど、常に何か新しく、面白く、そして刺激の多い場所へ関心を寄せていました。

そんな時に現れたのが、フレンチロックの新生、La Femme。彼らの音楽は、伝統的なフレンチロックを取り入れつつ、今の時代にあったサウンドであり、それがHediの心を撃ち抜いたのでしょう。

CELINE 01 2019ss

ちなみにLa Femmeは、CELINEのファーストコレクションにも楽曲を提供しています。その名も「Runway」。新時代の幕開けを感じさせるクールな曲です。

「Runway」La Femme
CELINE 2019ss

ところで、Saint Laurent期最後のシーズン、2016awでは、LAでコンサートのような大規模なコレクションを開催しました。

Saint Laurent 2016aw

この時、もちろんLAグランジの雰囲気を感じさせるものもありましたが、かなり70年代のフレンチ、ブルジョワな雰囲気を持っていることは、お分かりいただけると思います。

Saint Laurent 2016aw
ファーストルック。
70年代を代表するような着丈の長いジャケットとフレアパンツのタキシード3ピース。
Saint Laurent 2016aw
このモデルさん、少しだけOfficial髭男dismのボーカルに似てませんか?
そんなことは置いといて、ボーダーはフレンチの代名詞ですよね。金ボタンのコートは、ナポレオンコート。フランスを代表する英雄を連想させます。

さて、かなり遠回りをしてきましたが、本題に戻りましょう。

ここで改めて、今季、CELINE 06 2020awを見ていただきたいと思います。

アンヴァリッドが最高に似合う金ボタンのナポレオンコート。フリルのシャツには蝶ネクタイを合わせ、ベルベットのパンツで更に上品に。
CELINEに就任した後も作り続けているスモーキングは、Yves Saint Laurentへのオマージュが残っているからでしょうか。
ブリティッシュの雰囲気を持つガンクラブ柄のコート。ベルテットやエポレットなどのディテールは英国を代表するトレンチコートと共通しています。
こちらはかなりウィメンズのスタイルに振り切ったルック。けれども、女装しているようには思わせない。もしかして、この人アンドロジニーなのかも、?と思わせる絶妙なバランス感。
テーラードといえばブリティッシュ。Hediのテーラードの肩のラインは、常にブリティッシュを象徴するコンケープド(肩先にかけて上がり、お堅い印象を与えるシルエット)になっています。
デニムジャケットは、LAのグランジにはかかせない1着。スタッズをつけることで、さらにロックスターな気分に。
キラキラと輝くそのスーツは、まさにロックスターそのもの。ボウタイブラウスを合わせることで、ジェンダレスを唱う現代のロックスタースタイルに。
ブーツのヒールは80mm。Saint Laurent 2015awのような高さで、ほとんどウィメンズに近いシルエットになっています。
ブーツは、クラシックなカーフスキンやスエードから、ロックなシルバー、ゴールド、パイソン柄など様々。
スキニーなスカーフは、Dior時代から作り続けているHediの定番。ウィメンズのようなナイーブな雰囲気を出す、彼のスタイルにはかかせないアイテムです。
今季は、メンズのバッグとしてショルダーバッグを提案。長年女性のものとされてきていたものを、今は男性が持つ時代なのです。

さて、お分かりいただけたでしょうか。

今季のコレクションは、決して表面的には語ることの出来ない、Hedi Slimaneの集大成だったのです。

Dior時代のアンドロジニーなスタイル、Saint Laurent時代の英国ロックと、LAのグランジロック、そして、CELINEに移ってからインスピレーションとしているフレンチロック。全ての要素をミックスし、絶妙のバランスで具現化。

細かいディテールを見ても、パンツの緩いフレアはDior時代からの定番だったことなど、Hedi Slimaneの魂が随所に散りばめられていることが分かります。

21世紀を代表するデザイナーの集大成。あなたはどれを選びますか?

ご覧頂きありがとうございました。この2020awの名作たちが店頭に並ぶ頃には、それを身にまとって素敵な景色を見にお出かけできる世界になっていてほしいと心から願っております。

僕の好きなレディースのファッションスタイル

「好きな異性のファッションは何ですか?」

結構気になる質問ですよね。ちなみに僕は、あまり気にならないです。好きなものは変えられないので。笑

今回は、僕が好きなレディースのファッションスタイルについて、歴史的な面から話していきたいと思います〜

CHANEL

シャネル本人

皆さん大好き、フランスの老舗ブランド、CHANEL。

僕も例に漏れず大好きです。特に、彼女の生き方だったり、ファッションに対する姿勢が好きです。

映画「ココ・アヴァン・シャネル」より

これは本人ではなく女優のオドレイ・トトゥですが、映画の中でかなり忠実に再現されています。

周りの女性が派手なドレスを着ていた20世紀初め、彼女は快適さとシンプルさを求めて、メンズのスーツのような服を自分で作りました。

映画「ココ・アヴァン・シャネル」より

彼女はメンズのスーツを、女性らしいシルエットで再構築しました。当時はかなりの批判を周囲から受けたそうですが、それでも彼女の信念を通したのです。

シャネルの名作・シャネルスーツ

CHANELの特徴はなんといっても、シンプルさとエレガントさ。そこに快適さも加わったスタイルが定番です。全女性の永遠の憧れですよね。

Yves Saint Laurent

Yves Saint Laurent本人

次に、僕の大好きなデザイナー、Yves Saint Laurentによるレディースのファッションスタイルについて見ていきましょう。

彼のLe smoking(タキシード)の有名な写真

彼の数ある名作の中でも、最も取り上げられるべきなのはスモーキング(タキシード)のパンツスーツスタイル。スカートやドレスが基本だった当時のレディースファッションに大きな影響を与えました。

シンプルでエレガント。70’sぽいシルエットが彼の全盛期の最高傑作です。

Hedi Slimane

Hedi Slimane本人

最後に、僕が一番大好きなデザイナー、Hedi Slimane。

彼がSaint Laurentのデザイナーを務めていた時の彼のクリエーションがとってもかっこいいんです。

ロシア人のトップモデルを起用した、le smokingのキャンペーン写真

彼はYves Saint Laurentのスタイルをオマージュし、スモーキングを現代風にモダナイズしたスタイルを発表しました。

そうです、僕の好きなレディースのファッションスタイルは、圧倒的にパンツスーツスタイルです。

わかりやすく言うと、スタイリッシュなかっこいいスタイルです。笑笑

もうちょっと、リアリティのある服装について少しだけメンションしておきます。。笑

CELINE 2019aw

こちらはHedi SlimaneによるCELINE 2019AWコレクション。

リアリティのある、好きなレディースのファッションスタイルというと、

テーラードジャケットにジーンズ

これに限ります。

CELINE 2019aw
CELINE 2020ss

かっこいいスタイルに包まれた女性。

正直、近頃ではほとんど見かけられません。

もし、ファッションに少し迷走していたり、かっこいいなーって思ってくれた方がいましたら、ぜひ実践してみてください。喜びます笑

以上!

CELINE 04 mens 2020ss

こんにちは。今回は、前回に引き続き、僕が一番好きなデザイナー、Hedi SlimaneによるCELINEの最新コレクション、2020ss (spring summer) についてお話したいと思います✌️

エンタメ的には、BLACKPINKのLISAがショーに来て話題になりました。HediはLISAをとても気に入っていて、全てのショーに招待していたり、様々な広告で彼女を起用しています。LISAはまさに、CELINEのミューズです。
余談ですが、他のブルピンのメンバー、JISOOはBURBERRYの、ROSÉはSaint Laurentの、JENNIEはCHANELのミューズを担当しています。恐るべしブルピン。ちなみに僕はLISAとJISOOが好きです。

話を戻しましょう。HediによるCELINEの4シーズン目、Mens 2020ssのショーは、2019年6月23日に、フランス・パリのアンヴァリッドで行われました。

ショーのフィナーレ、前モデルが一斉に出てきて歩く、Hediといえば、な演出。

Hediといえば、激細のスキニーパンツですが、CELINEのデザイナーに就任してからは、ストリートが流行していることを踏まえてか、CELINEの伝統を踏まえてか、少しゆったりめなコレクションでした。

CELINE就任後初めてのコレクション、2019ssのファーストルック。ジャケットはレクタングル(シェイプのない真四角のシルエット)で、パンツは2プリーツが入ったハイウエストのテーパードパンツがメインでした。
CELINE就任後2シーズン目の2019aw。レクタングルジャケットは更にゆとりを持ち、着丈が長くなりました。パンツに関しては、更に太く、更にハイウエスト。8~9分丈のレングスにレンジャーブーツという合わせが主流でした。僕の好みとはかけ離れていたんです。
4シーズン目、2020ss 最後のルック
ちなみに、1シーズン目はメンズレディース合同の2019ss。3・5シーズン目は、レディースの2019aw、2020ssでした。

4シーズン目の今期、2020ssはどうだったのでしょうか!

毎回、ロックミュージシャンのライブのようなギラギラとした証明の演出で始まる彼のショー、今回も、赤い幕に覆われたボックスに、ギラギラな光を反射して輝くラメ入りのスーツを着たモデルからショーが始まりました。

2020ss ファーストルック

暗闇から一変、テンポの良い音楽(BODEGAの”NAME ESCAPE”)に合わせて照明がつき、現れたのはキラキラ輝くスーツルックのモデル。ヘアスタイルはCELINEでは定番化している、前髪パッツンサラサラ系マッシュ系ヘア、少し今期はロングヘアでしたね。

さて、ここで思ったわけです。どんなパンツが来るのか来るのかと待っていた訳ですが、、。

えーと。このシルエットは何?

この疑問は、3ルック目で明確に解決されたのでした。

2020ss 3ルック目。ブラウン系のストライプダブルのジャケットに、デニムオンデニム。胸元には花を添えて、胸元は開けて。

フレアパンツか!!!かっこよすぎ!!!!

本気で興奮しましたね。深夜3時、ベッドの中で、叫びそうになりましたよ。ヲタクかって?そんくらいかっこいいんだよ。

ダブルの金ボタンブレザーに、ヴィンテージライクなミリタリー系シャツ。フレアパンツ。CONVERSE系のスニーカー。

Hediのクリエーションは、常にロックスターからインスパイヤーを受けていて、ボブ・ディランだったり、デヴィッド・ボウイ、ローリング・ストーンズ、ニルヴァーナらのスタイルをそのまんま落とし込むことがあったのですが、今年も、インスピレーションになった人物がいます。僕の憧れの人です。

フランスを代表するシャンソン歌手、Serge Gainsberg(1928-1991)。かなり古い方ですが、今でもフランスでは、「hotな男」として若者の間でも人気があるそうです。

左がSerge Gainsberg

色落ちしたフレアパンツ、胸元をあけたシャツ、ほら、まんまでしょう。

彼は、簡単に言えばモテすぎて、女を乗り回したサイテーな男なんですが、男心くすぐられるような、醸し出すエロオーラがたまらなく憧れるんです。

メンズでかごバッグ?

Serge Gainsbergの他にもう1人、インスピレーション源になった人物がいます。この胸元の空いたTシャツとかごバッグといえば、、

左がJane Birkin 右がSerge Gainsberg

Serge Gainsbergの3人目の妻、Jane Birkinです。彼女のスタイルといえば、ノーブラにTシャツ、デニムにかごバッグでした。

2020SSは、世代を超えて愛されているこのファッショナブルを極めた夫婦にインスピレーションを受けたシーズンとなりました。

ちなみにかごバッグはあるアーティストとコラボして文字や、絵が入っています。確か12万円くらいです。高いけれど、真似したくなりますね。
少しキザな、エロいSerge風スーツスタイル。
フレアパンツの全盛期、70年代からもインスパイヤーを受け、ジャケットのシルエットは着丈が長めに。
フランスの自由さ、いい意味での雑さを絶妙なバランス間で表現したルック。

ちなみにジャケットですが、2019ss・awから変更され、高いウエストの位置でシェイプがかけられ、かなり足が長くエレガントに見える、フレンチなディテールが取り入れられています。これもまた70年代ぽいですね。

もうひとつ、インスピレーション源というか、テーマがあると考えています。それは、「アメリカのロックスターに憧れたフランス人」です。

全モデルが、アメリカで、特にトップガンのトム・クルーズから大流行したアビエーター(ティアドロップ型)のサングラスをかけています。また、時に見られるCONVERSE風なスニーカーと色落ちしたデニムというアメリカンな組み合わせの上に、ジャケットでドレスダウンをしたスタイルはまさにフレンチ全開。

光り輝く金ボタンの白のジャケットは、まさにロックスターそのもの。ドレスライクなものをデニムに合わせるのは、まさにフレンチの王道、ドレスダウンですね。

そしてこちらはラストルック。CELINEの由緒ある規律正しさやドレススタイルを、Hedi風に仕上げた至高のタキシード。70年代風のジャケットとフレアパンツの組み合わせ。最高です。

フィナーレ。

CELINE 2020ss。

僕は、CELINEでのHediのコレクションの中では最も好きなシーズンであるとともに、春夏のコレクションでいうと、トップで好きです。フレンチ、Serge Gainsberg、ロックスター、アメリカン。僕の好きなところど真ん中です。

2020年の2月下旬にParisに行くので、その際には例のフレアデニムを買おうかなと思います。うきうき。

ちなみに、このシーズンの新作は、12月上旬から既に発売開始されてます!ぜひ、公式サイトでご覧下さいな

ショーのフィナーレ後、ほんの少しだけ姿を見せたHedi Slimane。実は私服はいつもこの感じ。彼の私服についてはまた今度お話しますね。

いかがだったでしょうか。服好きな人も、そう出ない方も、楽しんでいただければ幸いです。そして、彼の素晴らしさが伝わったら、何よりです!

またお会いしましょう。ありがとうございました。

Hedi Slimaneの伝説

Hedi Slimane
今世紀で一番有名で、一番人気のある伝説のデザイナーですね。

僕は数多くいるデザイナーの中で、ダントツ、圧倒的に彼が好きです。口から腎臓の勢いで好きなんですー。本当に好きで好きで。

そんな彼は、この約20年間の間に、とんでもない伝説を残してきました、もはやノーベルさんレベルです
ということで、彼のコレクションから、彼のクリエーションの素晴らしさを紐解くと共に、この好きみな気持ちをシェアハピしたいと思いますー

伝説の始まり、Dior期

まずは、Dior hommeのデザイナーだった時、大体2001年から2008年頃ですね。

彼は1990年代にYves Saint Laurentさんと共に、yslで働いてたのですが、天下のGUCCI様に買収されて、diorのクリエイティブディレクターになりましたとさ。

「Hediのdiorのファーストコレクションがあった次の日、一夜にして、街中の男性がスキニーパンツを履き始めた」
有名な話ですね、彼の1番の伝説です。
1990年代からゆるっとしたダボダボパンツが大流行していたわけですが、彼のコレクションの後から皆がスキニーパンツを履き始めたんです。
今日スキニーパンツが定番化したのも、彼の功績のひとつですね。

そうなんです、彼のコレクションは、一貫してスキニー:激細のシルエットです。

彼はロックミュージックに精通していて、小さい頃からデヴィッド・ボウイを始めとした多くのロックを聞いてきたそうです。そのため、彼のクリエーションには一貫してロックのマインドが感じられます。それは20年前のdior時代も、今も変わりません。これが最大の魅力です。

ちなみにこれらの写真は、最高のシーズンと有名な、2005年秋冬、通称グラム期、グラムロック、っていうロックスタイルを反映させたシーズンです。
動画、かなり画質は悪いのですが、YouTubeで見つけられます。テンポの早いロックに乗せて颯爽と歩いてくるモデル、めちゃめちゃかっこいいですよ。
こっちは2007年秋冬。結構テーラード系のドレスアップスタイルが多い印象です。激細のネクタイを締めたドレスアップスタイル、だけど、あくまでも私服。
このギリギリのラインがたまらないですね。最高。
このシーズンの雰囲気が、僕の理想のスタイルに近いです。私服でドレスアップ、スキニーシルエット、ブラック、ロックマインド、あくまでも私服。
ドレスアップこそメンズファッションの至高です。
Hediのdior期の名作といえば、タキシードですね。タキシードをデイリーに着る、これがかなり流行ったそうです。最高ですね。
10年近くに渡るdiorでの活躍の後、彼は任期満了でdiorを離れました。どのブランドに行くのか、オリジナルブランドを立ち上げるのか、相当注目が集まりましたが、なんと、デザイナーから少し離れ、フォトグラファーとして活躍すると発表したのです。なんてこった。
その後彼はカリフォルニアで若者やロックミュージシャンを撮影するようになりました。これらの活動は今も続けていて、hedi slimane diaryの公式サイトで見ることが出来ると思います。是非。

伝説再び、Saint Laurent期

さて、数年後、2013AW、彼はSaint Laurentのデザイナーとしてファッション業界に戻ってきました。彼のSaint Laurentでの経歴は、本当に伝説です。まじで。

これはメンズのファーストシーズンのファーストルック。Monsieur Yves Saint Laurentが、自身の最高傑作だと言っていたスモーキング(タキシード)を現代風に解釈してファーストルックでボンバイヤですよ。ブランドを重んじながら彼の世界観を体現してます。素晴らしいバランス感。
このシーズンに数多くの名作が生まれましたね。このライダース、黒スキニーパンツ、ブーツは今もSaint Laurentの定番として受け継がれています。これを超すシルエットは存在しません。しません。

スキニーとブーツは持っていますが、本当に最高です。めちゃめちゃかっこいいです。ちなみにライダースは新品で60万、中古でも30万くらいするのでまだ買えません。ほしい。
そして2015AW。僕がこの世のコレクションの中で一番好きなシーズンです。フレンチ×ロック。僕にとってはお寿司と焼肉みたいな。やばみ。
激細の黒スキニーに、テーラードが入った、だけど少しリラックスしたトップス。このシーズンのブーツはというと、、、
ヒール80mm。レディースより高い?笑
でもめちゃめちゃかっこいいですね。なかなか中古でも見ないのですけど、見つけたらほしいです。これからのシーズンで新しく作ってほしくもありますね。
やっぱり僕はこういうスタイルが好きですね、ドレスアップ。英国紳士に憧れてるからでしょうか。まあそういう、僕のインスピレーション話はまた今度しますね。

とにかくこのシーズンは、めちゃめちゃ細い。少し猫背の男が颯爽と歩く。少しアンドロジニーっぽいですね。これもひとつキーワードです。アンドロジニー。
アンドロジニー、両性具有ということです。最近はジェンダー問題でかなり認識が広まっていますね。
彼のコレクションはジェンダーを超えているせいか、アンドロジニーな雰囲気が感じられます。
僕が一番好きなアーティスト、THE1975のボーカル、マットヒーリーもアンドロジニーな雰囲気なので、これも僕が惹かれる魅力の一つなのかもしれないですね。これに関してもまた今度詳しく話したいと思います。
話は戻って、Saint Laurentのラストコレクション、2016AW。これはファーストルックなのですが、Hediのルックの中で一番好きなルックです。
タキシード。70年代風のジャケットのシルエットと少しフレアのかかったパンツ。Yves Saint Laurentの全盛期の彼のスーツが好きなので、このシルエットはたまらないです。
この話また後で出てくるので覚えておいてくださいな。
2016AWを最後に、彼は約3~4年ほど務めたSaint Laurentから離れました。Hediのいないファッション業界。ストリートが全盛期を迎えていましたね。BALENCIAGAのでっかいスニーカーが火付け役となりました。ああ、退屈でした。つまらなかったです。早く戻ってこないかと。

ちなみに、彼が去った後のSaint Laurentは、アンソニーヴァカレロがデザイナーになったのですが、hediのマインドを上手く引き継いでいて、素晴らしいクリエーションをしています。とても好きです。

帰ってきたHedi、CELINE期 2019SS

そして、2019年春夏。
Hediが帰ってきました。
ブランドは、CELINE。
ストリートがめちゃめちゃ流行っていた2019年春夏、彼はやはりビタビタのロックスタイル、、、
かと思いきや、パンツに少しゆとりがありました。ニューウェーブパンツと名付けられたこのパンツ、日本人にはまあ似合わない。185センチの僕は似合うんですけどね。あまり好きではないのと、値段がバカ高くて買いませんでした。
めちゃめちゃ期待していたHediによるCELINE。ルックが発表された時は、僕がファッションを好きになり、初めてのHediが現行で買えると意気込み貯金したのですが、値段に驚愕。Saint Laurent時代より値上がりして、全く買えませんでした。
それと、表参道店リニューアルオープンのお店に行った時、客層の悪さに少し幻滅してしまいました。結局何も買わず。後悔はあんまりしてないですね。

ただ、彼のロックマインドは健在でした。少しドレスアップスタイルが多めでしたが、レザージャケットやトレンチ、スキニーパンツにブーツ、まさに夢が今目の前に!と、やっぱりほしいほしい、と思いながらもなかなか買えませんでした。

あれ? CELINE期 2019AW

2019AW。2シーズン目。めちゃめちゃ楽しみにして、朝3時くらいに起きて、インスタのライブ配信見てました。

だけど、、、え???

緩いパンツ、緩いジャケット、え?あれ?え?って。

スーツばかり。こりゃ大学には着ていけないわってなりましたね。コート欲しいなって思ったけど、60万くらい。さすがに貯金しても買えないので諦めました。

Hedi、やっぱり高くて買えないやー。ってなって、2019秋、ついこの前までですね、Yohji Yamamotoに少しハマって、そっちを買ってました。Hedi、、、好きだけど買わない、、、うーん。。。

これです。CELINE期 2020SS

4シーズン目。2020SS。一応生配信見たのですが。
ベッドの中で発狂しました。

なんだこれ!!!!!!!かっこよすぎる!!!!!!!!!!!!!!!
僕の好きな70年代風のベルボトムを、綺麗な色のデニムで。
Serge GainsbergやJane Birkin、僕の尊敬するフランス人のスタイルを体現したようなコレクション。
エロい。何よりエロい。春夏になるとどうしても、エロさや際どさを纏いたくなるのですが、まさにこれです。
テーラードと、抜け感。最高のバランス感。
vintageライクなシャツやTシャツだったり、コンバース風のスニーカーだったり、かなり落とし込みやすいスタイルというのも、ひとつ魅力的ですね。
もちろんテーラードスタイルも。シルエットが綺麗すぎ。
このシルエット、少しレディースライクというか、、そうですね、アンドロジニーっぽいです。高い位置のウエストシェイプ、フレアパンツ。また僕の好きなところですよ。
来年の2月にParisに行くので、その時にフレアのデニムを2本、定番のブーツを買おうかなあと思っています。vintageのジャケットやシャツだったり、父親からのお下がりのジャケットとか似合わせて、ラフにドレスアップして着たいですね。本当に楽しみです。
さて、マシンガントークしてきましたが、
今回は、僕の好きなコレクションを通して、Hediの魅力をシェアハピしてきました。
もっとほかのこと、Hediが作った武勇伝だったり、彼のバックグラウンド、1シーズンごとの考察、彼の服のディテールや特徴など、まだまだ話したいことは沢山あるので、それはまた今度お話したいと思います

Hedi Slimane、間違いなく21世紀を代表するデザイナーです。「CELINE」っていう、バッグで有名なブランド、としての認識ではなく、とんでもない人がデザインしてるブランドなんだ、と思っていただければ幸いです。

それでは、またお会いしましょう。

Au revoir!

ブログ始めました!

はじめまして、kohtaroです!

この度ブログを始めました!よろしくお願い致します!

このブログでは、ファッションにまつわることを、映画、音楽、文化、流行などから色々とお話していきたいと思います!

洋服が好きな方、映画や音楽が好きな方、是非見に来ていただけると嬉しいです!

Kohtaro 2000年10月25日生まれ
神奈川在住 大学一年生
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